2022年10月04日
インボイス方式 始まる
こんにちは。ツケマイてんちょ~です。
この10月でインボイス制度の登録申請開始から1年になり、また制度開始まであと1年と言う事になります。このインボイス制度、一般的な給与所得で生活する人たちにとっては何も変わりませんが、事業を行っている個人事業者、企業には大きく関係する事であり、登録申請をして国が指定した書式での請求書でやりとりをしたもの「のみ」消費税が経費として認められるようになるのです。そもそも消費税は仕入れた時の消費税と販売した時の消費税の差額を国に納めるという仕組みです。70円で仕入れたジュースを130円で売った場合には、7円と13円の差額、6円を国に納めなくてはいけません。ただ、消費税は年間売上1000万円を超えないと消費税を納めなくても良いのですが、このインボイス制度登録業者になると、適格請求書発行事業者になれるかわりに年間売上1000万円以下でも消費税を納めなくてはならなくなります。当然消費税を負担しないほうが良い、というのは皆さん思うところですが、適格請求書発行事業者でない売上年間1000万円以下の事業者=消費税を今まで通り納めなくても良い、ということになります。これは適格請求書を発行しないと取引先が支払った消費税を経費に出来ないので非常に困ります。結果として取引を終了されてしまうかもしれないのです。消費税と言うのは国内全ての売買にかかってきます。なので現状年間売上1000万円以上の場合には、適格請求書を発行できる相手のみと付き合えば、何も変わることがありません。しかし適格請求書を発行できない人と付き合えば、その分だけ消費税を経費に算入出来なくなります。
インボイスの話をしたのは、やはりパチンコも以前に外税、内税の話がありましたが消費税と言うものは売上が大きいだけに非常に影響が大きいですね。そしていわゆる「景品買取所」の問題です。買取所は基本、お客様からお店が提供する景品を買い取るので適格請求書を発行できないですよね?なので消費税分をどうするのか?という問題が出てきます。しかしここの問題は大半の買取所が登録している「古物商」の資格を保持していれば「古物商特例」というものを使い消費税を経費化できるのです。では、古物商を持っていない買取所も取れば問題無いですよね?というとそう簡単な話ではありません。地域によってはパチンコの景品だけを買うのでは、古物商の許可は下りないのです。以前は大丈夫だった地域でも既得権として古物商を持っている業者は居ると思いますが、最近はパチンコ店の提供する特殊景品以外にも、古物として流通可能な物品を扱わないと許可が下りない場合がほとんどとの噂です。ここら辺の問題では、国税庁、警察庁で見解の違いもあるかもしれませんので難しい所ですが、現在はネット販売も普通に普及していますし、具体的には長くなるので割愛しますが色々やり方はありそうです。しかし、古物商の取得はほぼ必須になってくるのではないでしょうか?そこらへんは業界団体と国税庁、警察庁で協議中みたいですね。パチンコの買取所は3点方式で利益率は低くても、その売り上げは莫大になるのでやはり適格請求書を発行できないとやっていけませんよね。ではお店はどうなるのか?今まで通りですよね。お客様に領収証も出さないし、お客様から貸玉料金の請求書も貰わないし。
ただ、パチンコ業界内では法人化されており、既に消費税課税事業者であることが一般的です。取引をするのに個人事業者はちょっと…法人化して欲しい! なんて経験はこのパチ・スロ クロス運営会社の社長も経験しているハズなんです。では、どういう人が一番影響を受けるのか?? それは昨今急激に増えている「フリーの演者さん」です。消費税を支払えば基本的には経費になりますが、Aという演者は適格請求書発行の課税事業者、Bと言う演者は今まで通りに年間1千万円も売上無いから何もせず、と言う場合に何が起こるでしょうか? この場合、Aという演者さんを使い、30万円払うとすると税込み33万円支払う事になります。Aさんからもらう適格請求書には消費税3万円と書いてあるために、3万円をホールの経費として預かり消費税と受取消費税の相殺に利用できます。しかし、Bさんを使う場合には適格請求書が無い為に、その消費税分を相殺できません。つまりホールが負担する形になります。そうなると考えられるのが、1、その3万円分値引きを要求されて27万円しか貰えなくなる。2、適格請求書を発行できないなら、もうBさんを演者で使わない。 この2択となって来ます。そもそも演者と言う事は仕事をする上での仕入れが極端に少ないので消費税の相殺と言っても払うほうがほとんどです。簡易課税制度を使い、経過措置での優遇があっても年間1千万以下の売り上げの演者さんは間違いなく多大な影響を受けます。フリーの演者と言う事は法人化していないのでおそらく殆どが年間売上1千万以下ですね。逆に言えば既に年間1千万を超える売り上げの演者さんは既に消費税を払っているでしょうから、適格請求書発行事業者になってもなにも損することは無いので実質無問題と言えるでしょう。
このインボイス制度導入でそのようなフリーの演者さんがどちらを選ぶのか?仕事を失うリスクを負いながら、又は値引きを仕方なく受け入れながら消費税を払わないままにするのか? それとも年間1千万も売り上げが無くても課税事業者になる手続きをして消費税を払うのか? もしくはホールさんに「適格請求書?そんなのウチで消費税分くらい被るから今まで通りやってよ」と言わせるくらいの集客実績を積むか? 演者廃業するか? そんな選択肢しか無くなってくるわけです。キッチンカーなども脱サラして独立した人が行っている事例が多いかと思うので、このような問題が起きそうですね。インボイス制度、この制度は良く言えば今まで免除されてきた収入の少ない事業者にもきっちりと消費税を払ってもらう、と言う事になりますが、逆に言えば小規模と大規模とでこのインボイス制度導入を境に急激にまた格差が広がる可能性を秘めています。終身雇用と言うものが実質公務員の特権みたいな時代になり、本人の希望する、しないにかかわらず個人事業者になったり職人の世界などでも一人親方と言われる個人事業主が多数居たり、10月からの社会保険制度の改正でまた、私の様に会社員から個人事業主となって業務委託契約を結ぶようになる人材も増えてくると思われます。そのようなまだ事業のスタート時点ではいくら2年猶予があるとはいえ消費税の負担と言うものは物凄く大きいですし、だからと言って法人を最初から作るには売り上げがある程度見込めないと勇気が必要です。このインボイス制度導入でそのような人たちが消費税負担が増えると、更にパチンコを打つお金が無くなってしまうのでは?と危惧しています。色々な意見がありますが、大前提として仕事をサボれるレベルの人が自由に使えるお金が増えないと、パチンコで遊技する時間、お金なんて簡単に作れないですからね。インボイス制度の影響は間接的にいろいろなところに出てきそうです。
それではまた来週!